企業型DCとiDeCoの関係を整理しよう
「うちの会社は企業型DC(企業型確定拠出年金)があるけど、iDeCoにも入れるの?」そんな疑問を持っている方は少なくありません。
結論から言うと、企業型DCに加入している会社員でも、条件を満たせばiDeCoに加入できます。ただし、加入できるかどうか、掛金の上限がいくらになるかは、会社の制度内容によって異なります。
この記事では、企業型DCがある会社員のiDeCo加入条件と掛金上限の仕組み、自分の上限を調べる具体的な方法を解説します。
企業型DCがある会社員はiDeCoに加入できる?
「企業型DCがある会社に勤めているとiDeCoには入れない」と思っている方が多いようです。しかし、これは誤解です。
加入可否を左右する主な要件
企業型DC加入者がiDeCoに加入できるかは、主に以下の点で確認します。
- 企業型DCでマッチング拠出を利用していないか
- 企業型DCの事業主掛金額や、確定給付企業年金(DB)など他制度の掛金相当額と合算して、法令上の上限内に収まるか
- iDeCoの最低掛金額・月額上限の範囲内で拠出できるか
なお、2022年10月以降は、企業型DC規約にiDeCo加入を認める定めがなくても、上記の条件を満たせば原則としてiDeCoに加入できます。
マッチング拠出の有無で加入可否が変わる
特に注意が必要なのが「マッチング拠出」の有無です。マッチング拠出とは、企業型DCで会社の掛金に対して、本人が上乗せして拠出できる制度のことです。
マッチング拠出を利用している場合は、原則としてiDeCoを併用することができません。マッチング拠出かiDeCoか、どちらか一方を選ぶ必要があります。
マッチング拠出を利用していない場合は、拠出限度額の条件を満たせばiDeCoに加入できます。
| 状況 | iDeCo加入可否 |
|---|---|
| 企業型DCあり・マッチング拠出なし・拠出限度額内 | 加入できる |
| 企業型DCあり・マッチング拠出を利用している | 原則として加入できない |
| 企業型DCあり・拠出限度額を超える場合 | 掛金額の設定調整が必要/加入できない場合がある |
| 企業型DCなし | 加入できる |
「企業型DCがある=iDeCoに入れない」ではなく、まず自分の制度の詳細を確認することが先決です。
iDeCo掛金の上限は企業型DC加入で変わる
iDeCoに加入できることが分かったら、次は掛金の上限を確認しましょう。企業型DCに加入している場合、iDeCoの掛金上限は企業年金のない会社員とは異なります。
これは、法令上、複数の制度を合算した拠出額に上限が設けられているためです。企業型DCの事業主掛金がすでにある分、iDeCoで拠出できる額が制限されます。
おおまかな考え方は以下のとおりです。
- 企業年金がない会社員:iDeCoは月額2.3万円が上限
- 企業型DCのみの会社員:iDeCoは原則として月額2万円まで。さらに、企業型DCの事業主掛金とiDeCo掛金の合計が法令上の上限内に収まる必要があります
- 企業型DC+確定給付企業年金(DB)など他の企業年金がある会社員:iDeCoは原則として月額2万円まで。ただし、企業型DCの事業主掛金・DB等の掛金相当額・iDeCo掛金の合計で上限判定を行うため、実際に拠出できる金額は個別に確認が必要です
なお、iDeCoには最低掛金額があるため、上限までの残枠が少ない場合は希望どおりに拠出できないことがあります。制度は法改正や省令改定によって変わる可能性があるため、最新の掛金上限はiDeCo公式サイトや厚生労働省の情報をご確認ください。
関連記事:iDeCoの掛金上限はいくら?会社員・公務員・自営業者別の目安
マッチング拠出を選んだ場合の注意点
マッチング拠出を選択した場合は、iDeCoを使うことができません。また、マッチング拠出で上乗せできる金額にも制限があります。
- 本人の拠出額は事業主掛金額を超えられない
- 事業主掛金と本人拠出の合計が、企業型DCの拠出限度額を超えられない
マッチング拠出の上限は会社の制度設計によって異なるため、社内の案内資料や担当部署に確認しましょう。
自分の掛金上限を調べる方法
「自分がいくらまで拠出できるか」を正確に把握するには、会社の制度内容を確認するステップが必要です。
確認すべき情報と確認先
まず、以下の情報を整理することから始めましょう。
- 企業型DCの事業主掛金額(毎月いくら会社が拠出しているか)
- マッチング拠出制度の有無と、現在利用しているか
- 確定給付企業年金(DB)など他の企業年金の有無
- 確認できる場合は、他の企業年金の掛金相当額
給与明細だけでは確認できない情報も多いため、会社の人事部・総務部・福利厚生担当、または企業型DCの運営管理機関への確認が必須です。
問い合わせ時は、以下の点をセットで確認すると漏れが防げます。
- 「企業型DCの事業主掛金は毎月いくらですか?」
- 「マッチング拠出制度はありますか?現在、自分は利用していますか?」
- 「確定給付企業年金(DB)など、他の企業年金制度はありますか?」
- 「他の企業年金がある場合、iDeCo加入手続きに必要な情報で確認できることはありますか?」
- 「iDeCo加入手続きにあたり、会社側で必要な確認や手続きはありますか?」
掛金上限を確認するステップ
- マッチング拠出を利用していないか確認する
- 企業型DCの事業主掛金額を確認する
- 他の企業年金の有無と掛金相当額を確認する
- 上記の情報をもとに、iDeCo公式サイトや加入を検討している金融機関で掛金上限を確認する
制度改定後は古い社内案内が残っていることがあります。最新の会社情報と公式サイトの情報を優先して確認してください。
iDeCo加入時の注意点
転職・雇用形態の変化に注意
企業型DCとiDeCoを併用している場合、転職や雇用形態の変化があるとiDeCoの加入条件や掛金上限が変わる可能性があります。転職後は新しい勤務先の企業年金制度を速やかに確認し、必要に応じてiDeCoの掛金額を変更する手続きをとりましょう。
マッチング拠出とiDeCoの選び方
マッチング拠出とiDeCoは、どちらが必ずしも有利とは言い切れません。以下の観点を比較して判断しましょう。
| 比較項目 | マッチング拠出 | iDeCo |
|---|---|---|
| 加入手続き | 会社制度の中で完結 | 個人で金融機関に申込 |
| 商品選択 | 会社指定の商品から選ぶ | 金融機関の取扱商品から自由に選べる |
| 税制優遇 | 所得控除の対象 | 所得控除の対象 |
| 手数料 | 制度運営に関する費用は会社負担が一般的。ただし、投資信託などの運用商品にかかる信託報酬などのコストはあります | 加入時・移換時手数料や口座管理手数料がかかります。金融機関によって運営管理手数料は異なります。運用商品にかかる信託報酬などのコストもあります |
| 上限の考え方 | 事業主掛金を超えられない | 加入区分に応じた月額上限がある |
| 会社への依存度 | 高い(会社制度に依存) | 低い(個人で管理) |
会社の事業主掛金が高い場合は、マッチング拠出の上乗せ余地が小さくなることがあります。一方、iDeCoは自分で金融機関や運用商品を選べる自由度があります。迷った場合は、iDeCo公式サイトの情報や加入を希望する金融機関への相談も活用してください。
まとめ:次に取るべき行動
企業型DCがある会社員がiDeCoに加入できるかどうかは、会社の制度内容によって異なります。「企業型DCがあるからiDeCoには入れない」という思い込みは、まず手放しましょう。
次に取るべき行動は、以下のとおりです。
- マッチング拠出を利用しているか確認する
- 企業型DCの事業主掛金額を確認する(人事部・総務部に問い合わせる)
- 確定給付企業年金(DB)など他の企業年金の有無を確認する
- iDeCo公式サイトや希望する金融機関で、自分の掛金上限を確認する
制度は法改正によって変更される場合があります。古い社内案内や情報に頼らず、最新の公式情報を必ず確認したうえで手続きを進めてください。
よくある質問
Q. 企業型DCとiDeCoは同時に加入できますか?
条件を満たせば同時加入が可能です。ただし、マッチング拠出を利用している場合は、原則としてiDeCoを併用できません。まずは会社の人事部・総務部でマッチング拠出の利用有無と事業主掛金額を確認しましょう。
Q. マッチング拠出とは何ですか?
企業型DCで、会社の掛金に本人が上乗せして拠出できる制度です。本人の拠出額は会社の掛金額を超えることができません。マッチング拠出を利用している場合は、原則としてiDeCoとの併用ができないため、どちらを選ぶか検討が必要です。
Q. iDeCoの掛金上限はなぜ企業型DC加入者は低くなるのですか?
法令上、複数の年金制度を合算した拠出額に上限が設けられているためです。企業型DCの事業主掛金がすでに拠出されている分、iDeCoで追加できる金額が制限されます。他の企業年金の有無によっても上限の計算が変わります。
Q. 自分のiDeCo掛金上限を調べるにはどうすればいいですか?
会社の人事部・総務部・福利厚生担当、または企業型DCの運営管理機関に問い合わせましょう。「事業主掛金額」「マッチング拠出の有無」「他の企業年金の有無」をまとめて確認し、その情報をもとにiDeCo公式サイト等で上限を確認できます。
Q. 転職したらiDeCoの掛金上限は変わりますか?
変わる可能性があります。転職先の企業年金制度の内容によって、iDeCoの加入条件や掛金上限が変わります。転職後は新しい勤務先の企業年金制度を確認し、必要に応じてiDeCoの掛金額を変更する手続きを行いましょう。



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